広告クリエイティブの外注の進め方|費用の見方と依頼先3種の比較

目次
広告クリエイティブの外注は、1本の単価だけでなく、制作に含まれる範囲と、配信の結果を次の制作に戻せるかどうかで比べると失敗しにくくなります。運用型の広告では素材を作って終わりではなく、結果を見て作り直すことが続くためです。バナーと動画の費用の見方、依頼先3種の違い、運用の数字と制作を切り離すと起きること、依頼時に渡す情報を順に説明します。
01広告クリエイティブの外注費用は範囲で比べる
クリエイティブの制作費に、公的な統一の相場はありません。以下は、公開されている案内に載っている目安です。依頼範囲や会社で大きく変わるので、参考の幅として見てください。
バナーの費用の目安
@SOHO編集部の案内では、次の目安が示されています。
| 区分 | 目安(1枚あたり) |
|---|---|
| フリーランスへの直接依頼 | 3,000〜15,000円 |
| 制作会社、広告代理店 | 15,000〜50,000円 |
| 静止画 | 3,000〜10,000円 |
| アニメーション(GIFなど) | 7,000〜20,000円 |
同じ案内では、ディレクション費は制作費全体の10〜20%が目安で、修正は「2回まで無料」とする形が多いとされています。別の案内では、運用代行で別途作る静止画バナーが1点あたり5,000〜3万円程度とされており、発行元と範囲によって幅があります。
動画の費用の目安
ショート動画は、撮影の有無で金額が大きく変わります。
| 依頼先 | 公開されている案内の目安 | 主な範囲 |
|---|---|---|
| フリーランス | 編集のみ3,000〜15,000円、企画や撮影込みで2万〜10万円 | 編集が中心。企画と撮影は相談 |
| 制作会社 | 1本5万〜30万円 | 企画、撮影、編集 |
| 運用代行で別途作る場合 | 15〜30秒の動画広告で3万〜15万円程度 | 運用代行の別料金として |
上の2行は@SOHO編集部の案内の数字です。株式会社課題解決プラットフォームの案内では、フリーランスは企画や撮影まで含めて単発1本1万〜8万円ほど、制作会社は単発1本5万〜20万円ほどとされており、同じ区分でも数字がそろいません。この差が、1本の金額だけで比べにくい理由です。
見積もりで確認する7項目
同じ金額でも、含まれるものが違えば比較できません。「一式」とだけ書かれた見積もりは、項目を分けてもらいましょう。
- 企画や構成は含まれるか
- 撮影、出演者、ロケ、素材の購入は含まれるか
- サイズ違いや尺違いの書き出しは、何種類まで含まれるか
- 修正は何回まで含まれ、超えるといくらか
- BGMや画像素材の商用利用の権利処理は誰が行うか
- 著作権と使用の範囲、編集用データの扱いはどうか
- 継続で頼む場合に単価は変わるか
1本の単価より、検証1回の費用で考える
運用型の広告では、作ったものがすべて残るとは限りません。
例:1本3万円の動画を10本作り、配信を続ける価値があったものが2本なら、残った1本あたりの費用は15万円です。1本10万円で3本作り、1本残った場合は30万円です。数字は説明のための仮のものです。
これは安いほうが常に良いという意味ではありません。安くても切り口が同じなら比較になりませんし、高くても次の検証に使える学びが残るなら価値があります。月に何本の検証が必要かを決めてから予算を組みましょう。
02依頼先3種の違いと向いている場面
| 比較の観点 | フリーランス | 制作会社 | 運用込みの代理店 |
|---|---|---|---|
| 得意な範囲 | 編集やデザインの実作業 | 企画から撮影、編集までの制作 | 配信の結果を踏まえた企画と制作 |
| 費用の傾向 | 抑えやすい | 高くなりやすい | 運用手数料に加えて制作費を確認する |
| やりとり | 直接で速い | 窓口と進行管理がある | 運用担当が間に入る |
| 運用の数字 | 共有しないと制作者に届かない | 共有しないと届かないことが多い | 同じ会社の中で共有しやすい |
| 不在時の体制 | 弱くなりやすい | 複数人で対応しやすい | 複数人で対応しやすい |
| 向いている場面 | 社内で企画と判断ができる | 表現の質や大型の撮影を重視する | 社内で企画や数字を読む人手が足りない |
フリーランスに向く場面
社内に、何を作るかを決めて結果を読める人がいるなら、編集やデザインの実作業だけを任せる形は費用の面で合理的です。一方で、1人に頼ると、不在の場合に制作が止まります。
個人に発注するときは、フリーランス・事業者間取引適正化等法にも注意します。公正取引委員会の特設サイトによると、従業員を使用しない事業者に委託する場合は、業務の内容、報酬の額、支払期日などを、書面または電子メールなどで直ちに明示する必要があります。報酬は給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間で支払期日を定めるとされ、口頭で伝えるだけでは足りません。
制作会社に向く場面
ブランドの表現を整えたいとき、出演者や撮影が必要なとき、まとまった本数を品質をそろえて作りたいときに向いています。ただ、制作会社の多くは制作物の品質を見る立場で、配信後の数字を受け取る前提になっていないことがあります。検証を続けるなら、改善の依頼の流れまで最初に決めておきましょう。
運用込みの代理店に向く場面
運用と制作を同じ会社に任せると、数字を次の制作に戻す手間が減ります。ただし、込みと書かれていても範囲は会社によって違います。@SOHO編集部の案内では、基本料金に含まれることが多いのは既存素材での出稿や入札の調整、レポート作成までで、新規のバナーや動画の編集、LP制作は別料金になることが多いとされています。同じ案内は手数料を広告費の約20%としていますが、S.Lineの解説のように、公的な統一の相場はないとして具体額を断定しない案内もあります。
確認したいのは、月に何本まで作れるか、撮影は含まれるか、誰が企画するかです。制作を別の会社に再委託している場合は、結果がどう制作者に渡るのかも聞きましょう。
03運用の数字と制作を切り離すと起きること
制作と運用を別の会社に頼むこと自体は、問題ではありません。問題が起きるのは、数字のやりとりが設計されていないときです。
| 起きること | 理由 | 防ぐ方法 |
|---|---|---|
| 同じ切り口の素材が増える | 何が効いたのかが制作者に伝わらない | 週次で勝ち負けの理由を共有する |
| 見た目の評価で修正が続く | 社内の好みが判断の基準になる | 比較する指標を発注時に決める |
| 成果が落ちても、原因が特定できない | 素材か配信か遷移先か、切り分けない | 素材名を決め、数字を素材ごとに見る |
| 更新が遅れて疲れた素材を流し続ける | 数字が落ちてから発注まで間が空く | 次の制作の枠を先に押さえる |
| 広告とLPの内容がずれる | 別々の担当が別々に作る | 訴求の一覧を共有する |
| 責任の押し付け合いになる | 誰が成果を持つのかが曖昧 | 判断する人を社内で1人決める |
媒体の仕組みも更新を求めている
たとえばTikTok広告のヘルプセンターでは、広告セットごとに3〜5本のクリエイティブを用意すること、成果の減少や新規ユーザーの少なさを更新の兆候とすることが案内されています。Metaの案内では、リール広告は9:16の縦型、音声あり、セーフゾーンの考慮が推奨されています。つまり、一度の制作で完結する発注の形では、運用型の広告の更新に追いつきにくくなります。
切り離すなら、最低限つなぐ3つの情報
別の会社に頼む場合でも、次の3つをつなげば多くの問題は防げます。
- 素材名のルール:媒体、切り口、形式、版、日付を名前に入れ、数字と素材を結びつける
- 結果の共有:素材ごとの配信単価、クリック率、成約率と、担当者の見解を週次か隔週で渡す
- 次の仮説:次にどの切り口を試すのか、なぜそれを試すのかを、依頼と一緒に書く
例:`IG_悩み切り口A_縦動画_v2_1102` のように名前をつけます。
ここで手が止まりやすいのは、数字を集めて読み解き、次の制作の指示に書き直す工程です。作業は小さく見えますが、担当者が兼務していると、ここが空いて、発注が前回と同じ内容に戻りがちです。社内でこの工程を持てるなら制作だけの外注で十分です。持てないなら、数字を読むところまで含めた依頼先を検討する理由になります。
04依頼時に渡す情報
依頼の情報が足りないと、修正の回数が増えて、結局は高くつきます。最初に次の情報を渡しましょう。
依頼前のチェックリスト
- 目的:何の成果を増やしたいのか(申込、購入、LINE登録など)
- ターゲット:誰の、どんな場面の悩みか
- 商品情報:価格、条件、強み、競合との違い
- 過去の結果:良かった素材と悪かった素材、その数字
- 遷移先:LPのURL、広告と合わせたい部分
- 媒体と形式:配信する媒体、サイズ、尺、音の有無
- 表現の制約:使えない言葉、薬機法や景品表示法の確認の担当
- 素材:ロゴ、写真、動画、フォント、ブランドの規定
- 本数と納期:本数、初回の納期、修正の回数、確認する人
- 権利:著作権の扱い、使う媒体と期間、編集用データの納品
そのまま使える依頼文の例
以下は依頼文の型です。括弧の中を自社の内容に置き換えてください。
```
【依頼の目的】
(商品名)の(申込/購入/LINE登録)を増やすための広告素材の制作をお願いします。
【配信先と形式】
媒体:(Instagramリール/TikTok/X)
形式:(9:16の縦動画、15秒前後/1080×1080の静止画)
本数:(切り口3種×各2本)
【ターゲットと訴求】
想定する人:(誰の、どんな場面の悩みか)
今回試す切り口:(A:○○/B:○○/C:○○)
遷移先:(LPのURL)
【これまでの結果】
良かった素材:(素材名、クリック率、成約率、良かった理由の見立て)
悪かった素材:(素材名、数字、悪かった理由の見立て)
【守ること】
使えない表現:(例:効果を断定する言葉)
表現の確認担当:(社内の担当者)
【進め方】
初回の納期:(日付)/修正:(回数)/確認者:(担当者名)
配信後の結果は(週1回)共有します。
【権利と納品】
使用範囲:(媒体、期間、配信以外での利用の有無)
権利の扱い:(譲渡/利用許諾)
納品物:(完成データ、編集用データの有無)
```
配信後の結果を共有すると書いておくと、制作者が次の改善を見越して作りやすくなります。
05著作権と表示で確認しておくこと
費用の話に隠れて後回しになりやすいのが権利です。
文化庁の著作権契約の資料では、著作権の全部を譲渡する場合に、第27条と第28条の権利(二次的著作物を創作する権利と利用する権利)を含むことを明記する例が示されています。単に著作権を譲渡すると書いただけでは、これらの権利は譲渡する側に残ったものと推定されるためです。あとで広告を編集して使い回したいなら、この点を確認しましょう。著作権を譲り受けず、利用許諾にとどめる場合は、使える媒体、用途、期間を決めます。
フリーランスへの発注では、公正取引委員会のQ&Aで、権利の譲渡や許諾を受ける場合は給付の内容として範囲を明確に書き、その対価を報酬に加える必要があるとされています。個別の契約の判断に迷う場合は、弁護士などに確認しましょう。
また、広告の表示の責任は広告主にあります。消費者庁の案内では、ステルスマーケティングの規制の対象は広告主とされています。体験談については、消費者庁の打消し表示に関する資料で、ねつ造や都合の良いものだけの引用は不当表示に当たるおそれがあると説明されています。外注先が作った台本でも、確認の担当を社内に置きましょう。
06よくある質問
月に何本の外注を見込めばいいですか?
一律の本数はありません。配信する媒体の数、広告セットの数、更新の頻度から逆算します。TikTok広告では広告セットごとに3〜5本が案内されているので、入れ替える分と検証で残らない分を足して考えます。
生成AIでの制作を依頼しても問題ないですか?
問題の有無は、使うツールの規約、権利、表示の内容によって変わります。使う場合は、どの工程で使うのか、商用利用の権利処理を誰が確認するのかを発注時に決めましょう。
制作だけを外注して、運用は自社でできますか?
できます。社内に数字を読んで次の切り口を決める人がいるなら、費用を抑えやすい形です。結果を制作者に渡す手順と担当者を決めておけば、十分に機能します。
依頼先を変えるときに確認することは?
編集用データの受け取りと、著作権や使用の範囲を確認します。素材名と結果の一覧を自社で持っておけば、新しい依頼先にもこれまでの学びを渡せます。
07まとめ
- 外注の費用は1本の単価でなく、含まれる範囲と検証1回あたりの費用で見る
- フリーランスは実作業、制作会社は制作の質、運用込みの代理店は数字とのつながりに強みがある
- 運用の数字と制作を切り離すと、同じ切り口の量産や更新の遅れが起きやすい
- 切り離すなら、素材名、結果の共有、次の仮説の3つをつなぐ
- 依頼時は目的、過去の結果、遷移先、表現の制約、権利の扱いまで渡す
Lic.では、配信用の広告クリエイティブの制作と広告運用、LPを分けずに、数字をもとに次の制作を決めています。
広告のクリックはあるのに、申し込みが増えない?
広告運用を前提に、離脱防止の設計までふくめたLPや、配信用の広告クリエイティブを制作します。公開後も、配信データをもとに改善を続けます。
- 離脱防止まで考えたLP制作
- 配信用の広告クリエイティブ制作
- 配信データをもとにした継続的な改善
まだ具体的に決まっていない段階のご相談も歓迎です。
参考
- @SOHO編集部「バナー制作の相場|広告・Web用バナーの料金目安と依頼のポイント」 https://atsoho.com/blog/banner-production-cost
- @SOHO編集部「ショート動画制作の費用相場|TikTok・Reels外注の料金と依頼先 2026」 https://atsoho.com/blog/short-video-production-cost
- @SOHO編集部「広告運用代行の追加費用|クリエイティブ制作が別料金になる境目 2026」 https://atsoho.com/blog/ad-management-extra-fee-threshold
- 株式会社課題解決プラットフォーム「ショート動画制作の相場|1本1万〜20万円・代行は月15万〜」 https://0120.co.jp/blog/video-129/
- 株式会社S.Line「SNS広告運用代行の費用|手数料の仕組みと広告費の内訳【2026年】」 https://s--line.co.jp/blog/sns-ads-agency-cost/
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- 公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」 https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2026/
- 公正取引委員会「フリーランス法 Q&A」 https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited/fllaw_qa.html
- 文化庁「誰でもできる著作権契約マニュアル」 https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/keiyaku_intro/chosakukenkeiyaku_manual.pdf
- 文化庁「登録の手引き 著作権に関する登録をお考えの方へ」 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/toroku_seido/pdf/93977001_01.pdf
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing
- 消費者庁「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(実態調査報告書のまとめ)」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180607_0004.pdf





