トンマナとは?意味と決め方5ステップ、社内共有シートの作り方

目次
トンマナとは、トーン&マナーの略で、制作物の雰囲気や言葉づかいをそろえるための約束ごとです。「やわらかい感じ」「おしゃれに」のような感覚的な言葉のままだと人によって受け取り方が変わり、修正が何往復も続いたり、バナーとLPとSNSで同じ会社に見えなくなったりします。以下では、意味と決める項目、決め方の手順、言葉のトンマナ、媒体ごとの使い分け、共有のしかたを整理します。形容詞ではなく具体的な指定と見本で決め、1枚のシートにまとめて全員が同じものを見られる状態にすれば、ぶれは防げます。
01トンマナとは「雰囲気」と「ふるまい」の約束ごと
トンマナは、トーン&マナー(tone and manner)を略した言葉です。広告や制作の現場では、デザインや文章の雰囲気、表現のルールを統一するための約束ごとを指します。
- トーン:全体の雰囲気や調子。明るい・落ち着いている・親しみやすい・きちんとしている など
- マナー:表現のルールやふるまい。色の使い方、文字の大きさ、言葉づかい、写真の選び方 など
トーンは「どう感じてほしいか」、マナーは「そのために何をどう使うか」と考えると区別しやすくなります。
トンマナとデザインガイドライン、ブランドガイドラインの違い
似た言葉に、デザインガイドラインやブランドガイドラインがあります。厳密な区別はありませんが、実務では次のように使い分けられることが多いです。
| 名称 | 主な中身 | 使われる場面 |
|---|---|---|
| トンマナ | 雰囲気と表現のルール。1つの施策やキャンペーン単位で決めることも多い | 広告、LP、SNS、キャンペーン |
| デザインガイドライン | 色・文字・余白・部品の使い方の細かい規定 | Webサイト、アプリ、制作物全般 |
| ブランドガイドライン | ロゴの使い方、理念、言葉づかいまで含めた全体の規定 | 会社・ブランド全体 |
中小企業やスタートアップでは、ブランドガイドラインまでは整っていないことがほとんどです。まずは広告とLPに使うトンマナを1枚にまとめるところから始めると現実的です。
トンマナをそろえると何が良くなるか
- 覚えてもらいやすくなる:広告、LP、SNSで同じ雰囲気が続くと、「あの会社だ」と認識されやすい
- 広告からLPへの離脱が減る:広告とLPの雰囲気がずれていると、読み手は別のページに来たように感じる
- 制作が速くなる:判断の基準があるので、迷う時間と修正の往復が減る
- 外注先が変わっても品質を保てる:担当者やデザイナーが変わっても同じものを作れる
02トンマナで決める項目
トンマナは、見た目と言葉の両方で決めます。見た目だけそろえても、言葉づかいがばらばらだと印象は統一されません。
見た目で決める項目
| 項目 | 決めること | 指定の例 |
|---|---|---|
| 色 | メイン・サブ・アクセントの色と比率 | メイン紺、サブ白、アクセントは黄色をボタンにだけ使う |
| 文字 | 書体、見出しと本文の太さ、大きさの段階 | 見出しは太めのゴシック、本文は細めのゴシック |
| 写真 | 被写体、明るさ、人物の表情、加工の度合い | 自然光で明るめ、人物は笑いすぎない表情 |
| イラスト・図 | 使うかどうか、線の太さ、色数 | 線画のみ、色数は2色まで |
| 余白・レイアウト | 詰めるか広く取るか、揃え方 | 余白は広め、左揃えを基本にする |
| 装飾 | 枠、影、グラデーション、アイコンの扱い | 影とグラデーションは使わない |
言葉で決める項目
| 項目 | 決めること | 指定の例 |
|---|---|---|
| 語尾 | です・ます、言い切り、話し言葉 | 本文はです・ます、見出しは言い切り |
| 呼びかけ | 読み手をどう呼ぶか | 「あなた」は使わず「担当者の方」 |
| 距離感 | 先生・友人・同僚のどれに近いか | 頼れる同僚のように、上から目線にしない |
| 使わない言葉 | 誇大表現、流行語、強すぎる言葉 | 「絶対」「最強」「ヤバい」は使わない |
| 表記 | 数字、カタカナ、英字の書き方 | 数字は半角、「ください」はひらがな |
03トンマナの決め方(5ステップ)
1. 誰に、どう感じてほしいかを決める
最初に、届けたい相手と、その相手にどう感じてほしいかを決めます。トンマナは作り手の好みではなく、読み手の受け取り方から決めるものです。
- 誰に:たとえば「初めて広告を外注する、中小企業の経営者」
- どう感じてほしいか:たとえば「この会社なら任せても大丈夫そう」
2. 印象を表す言葉を3つに絞る
次に、感じてほしい印象を言葉にします。候補をたくさん出したあと、3つに絞ります。多すぎると、すべてを満たそうとして中途半端になります。
このとき、反対の言葉も一緒に決めておくと、指定がぶれにくくなります。
| 印象の言葉 | こうではない(反対の言葉) |
|---|---|
| 誠実 | 派手、押し売り |
| 現場に強い | 机上の空論、抽象的 |
| 親しみやすい | 馴れ馴れしい、子どもっぽい |
3. 見本を集めて、印象の言葉と照らし合わせる
言葉だけでは、人によって思い浮かべるものが違います。同じ「親しみやすい」でも、パステルカラーを思い浮かべる人もいれば、手書き風の文字を思い浮かべる人もいます。そこで、イメージに近い広告やサイトの見本を集め、関係者で「どこが近いか」「どこが違うか」を話し合います。
見本を集めるときは、「好き」「嫌い」だけでなく、「この写真の明るさが近い」「この余白の広さが近い」のように、要素ごとに理由を書き添えるのがポイントです。
4. 具体的な指定に落とし込む
見本の話し合いで決まった方向性を、色の値、書体の名前、写真の条件など、誰が見ても同じものを指す指定に置き換えます。
- 「落ち着いた青」→ 色の値(カラーコード)を指定する
- 「読みやすい文字」→ 書体名と、本文の最小サイズを指定する
- 「明るい写真」→ 屋内か屋外か、自然光か、人物の数と表情を指定する
色を決めるときは、文字と背景の色の差(コントラスト)にも気を配ります。ウェブのアクセシビリティの国際的な指針であるWCAGでは、通常の文字について、文字と背景のコントラスト比を4.5:1以上にすることが基準の1つとされています。淡い色どうしの組み合わせはおしゃれに見えても、スマホでは読みにくくなることがあります。
5. OK例とNG例を並べて完成させる
最後に、実際の制作物で「これはOK」「これはNG」の例を並べます。指定の言葉だけでは判断できない境界のケースも、例があれば判断できます。NG例は、過去に修正になった制作物を使うと説得力があります。
04広告・LP・SNSなど媒体ごとのトンマナの使い分け
トンマナは、すべての媒体でまったく同じにする必要はありません。軸になる部分はそろえつつ、媒体の特性に合わせて調整します。
| 媒体 | そろえる部分 | 調整してよい部分 |
|---|---|---|
| SNS広告 | 色、言葉づかいの軸、使わない言葉 | 文字の量、テンポ、写真の雰囲気(投稿になじませる) |
| LP | 色、書体、写真の条件、語尾 | 情報量、図や表の使い方 |
| SNSの通常投稿 | 色、使わない言葉 | 語尾や距離感をややくだけさせる |
| 営業資料 | 色、書体、ロゴの扱い | 装飾を減らし、情報の見やすさを優先する |
特にSNS広告では、作り込んだデザインよりも、ふだんの投稿に近い雰囲気のほうが見てもらえることがあります。そうした場合でも、色や使わない言葉など、軸の部分はそろえておくと、LPに移ったときの違和感が少なくなります。
広告とLPのトンマナはセットで考える
広告をタップしてLPに来た人は、最初の数秒で「さっきの広告と同じ話か」を確かめています。広告とLPで色や写真、言葉の雰囲気が大きく違うと、離脱の原因になります。広告を新しく作るときは、遷移先のLPのファーストビューと並べて確認しましょう。
広告とLPの作り手が分かれていると、それぞれはシートどおりなのに、並べるとずれていることがあります。広告は検証のたびに素材が増え、LPは一度作ると長く変わらないため、時間がたつほど差が開きやすいからです。LPの先にLINEの登録やあいさつメッセージがあるなら、そこの言葉づかいも同じ軸で確認しておくと、登録直後の印象の落差を防げます。
05トンマナシート(そのまま使えるテンプレ)
決めたトンマナは、1枚のシートにまとめます。次の項目を埋めれば、最低限の共有はできます。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 対象 | どの商品・施策・媒体のトンマナか |
| 届けたい相手 | 誰に向けたものか |
| 感じてほしいこと | 一文で |
| 印象の言葉 | 3つと、それぞれの反対の言葉 |
| 色 | メイン・サブ・アクセントの値と比率 |
| 書体 | 見出し・本文・数字の書体と最小サイズ |
| 写真・イラスト | 被写体、明るさ、表情、使わないもの |
| レイアウト | 余白、揃え方、装飾のルール |
| 言葉づかい | 語尾、呼びかけ、距離感 |
| 使わない言葉・表現 | 具体的に列挙する |
| OK例・NG例 | 画像や実例を並べる |
| 更新日・管理者 | いつ、誰が決めたか |
トンマナシートの共有のしかた
トンマナシートは、作っただけでは使われません。次のような工夫で、制作の流れに組み込みます。
- 置き場所を1つに決める:共有フォルダやデザインツールの1か所にまとめ、古い版を残さない
- 依頼書に必ず添える:外注先やデザイナーへの依頼のたびにシートを渡す
- デザインツールに登録する:色や書体、ロゴをデザインツールのブランド設定やテンプレートに登録しておくと、指定どおりの素材から作り始められる
- 初稿の確認で使う:修正の指摘をするときに「シートのどの項目に合わないか」で伝える
- 定期的に見直す:成果の良かった制作物を見て、シートを更新する
止まりやすいのは、シートを作る工程よりも、その後の運用です。新しい素材のたびにシートと照らし合わせる確認や更新は、他業務と兼務する担当者だと後回しになりがちです。誰が、どのタイミングで確認するかまで決めておくと続きます。
フィードバックを「シートの言葉」で伝える
修正の往復が多くなる原因の1つは、フィードバックが感覚的なことです。「なんか違う」「もう少しおしゃれに」ではなく、「写真が暗め。シートでは自然光で明るめ」「アクセント色をボタン以外に使っている」のように、シートの項目に沿って伝えると、1回の修正で直りやすくなります。
06トンマナづくりのよくある失敗と対策
| 失敗 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 形容詞だけで決める | 人によって解釈が違い、修正が続く | 色の値・書体名・見本で指定する |
| 印象の言葉が多すぎる | どれも中途半端になる | 3つに絞り、反対の言葉も決める |
| 見た目だけ決める | 文章の雰囲気がばらばら | 語尾・呼びかけ・使わない言葉も決める |
| 決めたまま更新しない | 実際の制作とずれていく | 成果の良い制作物を見て見直す |
| 共有場所が複数ある | 古い版で作られる | 置き場所を1つにし、更新日を書く |
| すべての媒体で同じにする | 媒体になじまず成果が出ない | 軸はそろえ、調整してよい部分を決める |
07よくある質問
トンマナは誰が決めるべきですか?
最終的な決定は、ブランドや施策の責任者が行うのが基本です。ただし、決める過程には、実際に作るデザイナーや、お客様の声を知る営業担当も加わると、現場で使えるトンマナになります。
一度決めたトンマナは変えてはいけませんか?
変えてはいけないわけではありません。ターゲットや商品が変わったときや、成果の良い表現が見つかったときは、見直すべきです。ただし、頻繁に変えるとそろえる意味がなくなるため、変えるときは理由と更新日を残します。
小さな会社でもトンマナは必要ですか?
規模が小さいほど、担当者や外注先が入れ替わったときに雰囲気がばらつきやすいため、トンマナを決めておく意味は大きいといえます。最初から細かく作る必要はなく、色・書体・使わない言葉の3つだけでも効果があります。媒体が少なく関わる人も限られるうちは、社内でシートを持つだけで十分に回ります。広告の素材を頻繁に増やす段階や、広告とLPの作り手が分かれる段階になったら、確認役をどこに置くかを考え直す時期です。
08まとめ
- トンマナは、制作物の雰囲気(トーン)と表現のルール(マナー)の約束ごと
- 見た目だけでなく、語尾や使わない言葉など言葉のルールも決める
- 「誰にどう感じてほしいか」から始め、印象の言葉を3つに絞り、見本と具体的な指定に落とし込む
- 媒体ごとに軸はそろえ、調整してよい部分を決める。広告とLPはセットで確認する
- トンマナシートを1か所で管理し、依頼とフィードバックのたびに使う
トンマナは、作る人が変わっても「同じ会社らしさ」を保つための道具です。Lic.では、広告クリエイティブとLPを一続きで制作するなかで、トンマナをそろえて広告からLPへの違和感をなくすことを大切にしています。
広告のクリックはあるのに、申し込みが増えない?
広告運用を前提に、離脱防止の設計までふくめたLPや、配信用の広告クリエイティブを制作します。公開後も、配信データをもとに改善を続けます。
- 離脱防止まで考えたLP制作
- 配信用の広告クリエイティブ制作
- 配信データをもとにした継続的な改善
まだ具体的に決まっていない段階のご相談も歓迎です。
参考
- W3C「Understanding Success Criterion 1.4.3: Contrast (Minimum)」 https://www.w3.org/WAI/WCAG22/Understanding/contrast-minimum.html





