デザイン依頼書の書き方|12項目のテンプレートと記入例

目次
デザイン依頼書(オリエンシート)の書き方で大切なのは、「どんな見た目にしたいか」より「誰に、何を、何のために伝えたいか」を先に書くことです。上がってきたデザインがイメージと違う、修正を重ねるうちに関係までぎくしゃくするといったすれ違いは、多くの場合、デザイナーの腕ではなく依頼の段階で起きています。LPやバナーの依頼で使える12項目とそれぞれの書き方、記入例、伝わりにくい言葉の言い換え方を紹介します。見た目の指定は、その後に添えるくらいがちょうどよいバランスです。
01デザイン依頼書(オリエンシート)とは
デザイン依頼書は、制作を始める前に、依頼の目的や前提をデザイナーに伝えるための資料です。広告や制作の現場では「オリエンシート」「オリエン資料」、英語圏では「デザインブリーフ」とも呼ばれます。
口頭の打ち合わせだけでも制作は進められますが、文字にして残すことで、次のような効果があります。
- 依頼する側の頭の中が整理され、伝え漏れが減る
- デザイナーが迷ったときに立ち返る基準になる
- 修正のときに「最初に決めた目的に合っているか」で話せる
- 社内の関係者と、同じ前提を共有できる
特に、社内で複数の人がデザインを確認する場合、依頼書がないと人によって評価の基準がばらばらになり、修正が終わらなくなります。依頼書は、デザイナーのためだけでなく、社内の合意をとるための道具でもあります。
02依頼書に書く12項目のテンプレ
LPやバナーなど、販促物のデザインを頼むときに使える項目です。全部を埋められなくても構いません。空欄があることがわかるだけでも、打ち合わせで確認すべき点がはっきりします。
| 区分 | 項目 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 目的 | 1. 背景 | なぜ今これを作るのか |
| 目的 | 2. ゴール | 見た人に何をしてほしいか、何で成果を測るか |
| 相手 | 3. ターゲット | 誰に向けたものか、その人の悩みや状況 |
| 相手 | 4. ターゲットが見る場面 | どこで、どんな状態で目にするか |
| 中身 | 5. いちばん伝えたいこと | ひとことで言うと何か |
| 中身 | 6. 根拠・材料 | それを信じてもらうための事実 |
| 中身 | 7. 入れる要素 | コピー、写真、ロゴ、注釈など |
| 見た目 | 8. トーン | 与えたい印象 |
| 見た目 | 9. 参考と避けたいもの | 参考デザインと、その理由 |
| 条件 | 10. 仕様 | サイズ、媒体、点数、納品形式 |
| 条件 | 11. スケジュール | 初稿、修正、最終納品の日付 |
| 条件 | 12. 確認の流れ | 誰が、何回、どの順で確認するか |
並び順にも意味があります。目的と相手が先、見た目は後です。見た目から書き始めると、デザイナーは「言われたとおりに作る」ことしかできず、目的に合った別の提案をする余地がなくなります。
03項目ごとの書き方と良い例・悪い例
1. 背景
なぜ今このデザインが必要なのかを書きます。新商品の発売、既存LPの成果の低下、新しい広告媒体への出稿など、きっかけがわかるとデザイナーは優先順位をつけやすくなります。
- 悪い例:新しいLPを作りたい
- 良い例:Instagram広告を始めるにあたり、検索広告用のLPでは情報が多すぎて読まれないため、スマホで短く読めるLPを新しく作りたい
2. ゴール
見た人に取ってほしい行動と、成果を測る指標を書きます。「かっこよくしたい」はゴールではなく手段です。
- 悪い例:ブランドイメージを上げたい
- 良い例:LPから無料相談の申し込みを増やしたい。申し込み率で効果を判断する
3. ターゲット
年齢や性別だけでなく、その人がいま何に困っていて、どの程度検討が進んでいるかを書きます。
- 悪い例:30〜40代の男女
- 良い例:従業員50名前後の会社でマーケティングを1人で担当している人。広告代理店に任せているが成果が見えず、乗り換えを考え始めている
4. ターゲットが見る場面
同じ人でも、スマートフォンでSNSを流し見しているときと、PCで比較検討しているときでは、届くデザインが違います。
- 例:通勤中や休憩中に、Instagramのフィードやストーリーズで流し見している。音は出していないことが多い
5. いちばん伝えたいこと
依頼書の中で最も大切な項目です。伝えたいことが3つも4つもあると、デザイナーはどれを目立たせればよいか判断できません。ひとことに絞り、2番目以降は「補足」として分けて書きます。
- 悪い例:低価格・高品質・サポート充実・実績多数
- 良い例:最優先は「最短翌週から始められる」こと。補足として、月額費用の目安と、契約期間の縛りがないこと
6. 根拠・材料
伝えたいことを信じてもらうための事実を書きます。数字、導入企業、お客様の声、受賞歴などです。掲載してよいかの確認が済んでいるものだけを渡しましょう。
7. 入れる要素
決まっているコピー、必ず入れるロゴや注釈、使ってほしい写真などを並べます。「必須」と「あれば」の区別をつけると、デザイナーが要素を整理しやすくなります。
8. トーン
与えたい印象を、2〜3個の言葉で書きます。後述の言い換え表も参考にしてください。
- 悪い例:おしゃれな感じ
- 良い例:落ち着いていて信頼できる。ただし堅すぎず、相談しやすそうな印象
9. 参考と避けたいもの
参考デザインは、URLや画像と一緒に「どこが参考なのか」を必ず書きます。「この配色」「この写真の使い方」「この情報の詰め方」など、参考にしたい部分を指定しないと、全体を真似した似たものが上がってきます。避けたいもの(競合と似すぎる色、過去に評判が悪かった表現など)も書いておくと、手戻りが減ります。
10〜12. 仕様・スケジュール・確認の流れ
サイズや点数、納品形式は抜けやすいので、最初に確定させます。スケジュールは初稿の日付だけでなく、修正の締め切りと、社内確認にかかる日数も含めて書きます。確認の流れは「担当者が見て、部長が見て、最後に社長」のように、順番と人数を書いておくと、デザイナー側も修正の回数を見込めます。
04デザイン依頼書の記入例(架空の法人向けサービスのLP)
実際に埋めるとどうなるかを、架空のサービスで示します。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 背景 | Instagram広告を新たに始める。既存LPは情報量が多くスマホで読まれにくいため、広告専用のLPを作りたい |
| ゴール | 無料相談の申し込み。申し込み率で判断する |
| ターゲット | 中小企業で1人でマーケティングを担当している人。代理店に任せているが成果が見えない |
| 見る場面 | スマホでInstagramを流し見している最中 |
| いちばん伝えたいこと | 最短翌週から、広告とLPをまとめて見直せる |
| 根拠・材料 | 対応できる媒体の一覧、相談の流れ、よくある質問(掲載確認済み) |
| 入れる要素 | 必須:ロゴ、キャッチコピー、相談ボタン。あれば:担当者の写真 |
| トーン | 落ち着いていて信頼できる。堅すぎず、相談しやすい |
| 参考 | 参考LPの「余白の取り方」と「見出しの大きさの差」。配色は自社のコーポレートカラーを使う |
| 避けたいもの | 赤や黄色を多用した、急かす印象のデザイン |
| 仕様 | スマホ幅を基準に、縦長1ページ。デザインデータとHTMLで納品 |
| スケジュール | 初稿○日、修正締め切り○日、公開○日 |
| 確認の流れ | 担当者→マーケティング責任者の2段階。修正は2回まで想定 |
このくらいの密度で書いてあれば、デザイナーは初稿の段階から方向性を大きく外しにくくなります。
バナーとLPを別々の相手に頼む場合は、同じ依頼書を両方に渡し、広告で何を約束し、LPのどこで受けるかを書き添えます。それぞれ単体では良いデザインでも、訴求がずれていると、広告から来た人はLPの冒頭で離れてしまいます。
05「おしゃれに」など伝わりにくい言葉の言い換え表
依頼書でつい使ってしまう言葉の中には、人によって受け取り方が大きく違うものがあります。次のように、具体的な状態に言い換えて書くのがおすすめです。
| 伝わりにくい言葉 | 受け取り方の幅 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| おしゃれに | 雑誌風、ミニマル、派手など様々 | 余白を多めに、文字は細め、色は2色まで |
| インパクトのある | 大きい文字、強い色、意外な写真など | スクロール中に手が止まるよう、数字を画面の3分の1の大きさで |
| シンプルに | 要素を減らす、色を減らす、装飾をなくす | 要素は見出し・写真・ボタンの3つだけ |
| 高級感 | 黒×金、白×余白、写真の質感など | 写真を大きく、文字は明朝体、色数は抑える |
| 親しみやすく | イラスト、丸み、明るい色など | 角を丸く、写真は人物の笑顔、口語のコピー |
| 目立たせて | 大きく、色を変える、動かすなど | ボタンだけ背景と反対の色にし、周りの余白を広げる |
| いい感じに | 何も伝わらない | 目的とターゲットから、もう一度言い直す |
すべてを細かく指定する必要はありませんが、少なくとも「なぜそう感じてほしいのか」を添えると、デザイナーは目的に沿った解釈をしやすくなります。
06依頼書を送る前のチェックリスト
- いちばん伝えたいことが、一文で書けているか
- ゴールと、成果を測る指標が書かれているか
- ターゲットの悩みと、見る場面が書かれているか
- 参考デザインに「どこを参考にするか」が添えてあるか
- 必須の要素と、あれば入れたい要素が分かれているか
- 使う写真や数字、お客様の声の掲載確認が済んでいるか
- サイズ・点数・納品形式が確定しているか
- 社内の確認の流れと、修正の想定回数が書かれているか
- 社内の決裁者が、依頼書の内容に目を通しているか
最後の項目は見落とされがちですが、重要です。担当者とデザイナーで進めたデザインが、決裁者の一言で最初からやり直しになるのはよくある話です。依頼書の段階で決裁者に「この方向で進めます」と合意をとっておくと、大きな手戻りを防げます。
07デザイン依頼でよくある失敗と対策
| 失敗 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 伝えたいことを全部並べた | どれも目立たず、印象に残らない | 1つに絞り、残りは補足に回す |
| 参考URLだけを送った | 参考の全体を真似したデザインになる | 参考にしたい部分と理由を書く |
| ターゲットを属性だけで書いた | 誰にでも当てはまる無難なデザインになる | 悩みと見る場面まで書く |
| 確認する人を決めていなかった | 後から意見が増え、修正が終わらない | 確認者と順番を最初に書く |
| 素材を後から渡した | レイアウトのやり直しが発生する | 写真やロゴは依頼と同時に渡す |
08よくある質問
Q. 依頼書はどのくらいの分量が適切ですか
A4で1〜2枚程度に収まるのが理想です。長すぎると読み飛ばされ、重要な部分が埋もれます。詳しい資料は別に添付し、依頼書には要点だけを書く形がおすすめです。
Q. 自分でラフを描いて渡したほうがよいですか
情報の順番や、入れたい要素の大まかな位置を伝える目的なら、手描きのラフは役立ちます。ただし、ラフはあくまで「伝えたいことの並び」を示すもので、デザインの完成形ではないと添えておくと、デザイナーがより良い配置を提案しやすくなります。
Q. 依頼書のテンプレートは毎回同じでよいですか
基本の12項目は共通で使えます。媒体によって、バナーなら「表示される面」、LPなら「流入元の広告」、動画なら「最初の数秒で伝えること」など、重みを置く項目を変えるとより伝わりやすくなります。
単発のバナーやLPなら、依頼書を都度書く形で十分です。広告の検証のために訴求を変えながら素材を作り続ける場合は、依頼、社内確認、修正が本数の分だけ発生し、兼務の担当者のところで止まりやすくなります。訴求案を一覧にして毎回の依頼は差分だけにするか、訴求の案出しから制作までを同じ相手に頼むかを、更新の頻度に合わせて比べてみてください。
09まとめ
- デザイン依頼書は、デザイナーへの指示書であると同時に、社内の合意をとるための道具
- 項目は「目的 → 相手 → 中身 → 見た目 → 条件」の順に書く
- 最も大切なのは、いちばん伝えたいことを一文に絞ること
- 参考デザインは「どこを」「なぜ」参考にするかまで書く
- 「おしゃれに」「目立たせて」は、具体的な状態に言い換える
- 送る前に、決裁者を含めて内容に合意しておく
依頼書の型があると、制作の速さだけでなく、修正の回数も大きく変わります。Lic.では、LPや広告クリエイティブの制作を始める前に、目的とターゲット、広告で伝えていることをすり合わせることを大切にしています。
広告のクリックはあるのに、申し込みが増えない?
広告運用を前提に、離脱防止の設計までふくめたLPや、配信用の広告クリエイティブを制作します。公開後も、配信データをもとに改善を続けます。
- 離脱防止まで考えたLP制作
- 配信用の広告クリエイティブ制作
- 配信データをもとにした継続的な改善
まだ具体的に決まっていない段階のご相談も歓迎です。





