動画広告の作り方|作る前に決める4つのことと構成の型、設計表

目次
動画広告の作り方で最初に固めたいのは、映像のクオリティではなく、何をどの順番で見せるかという構成です。数秒で離脱される、撮影や編集に時間をかけても成果につながらないといった場合も、原因の多くは構成にあります。
基本は「1本1メッセージ」に絞り、見る人の温度に合わせて順番を決めることです。作る前に決めておくこと、目的別の構成の型、尺ごとの組み立て方、音声オフでも伝わる作り方、素材が少ないときの作り方を順に整理し、そのまま使える構成の設計表も紹介します。
01動画広告の構成とは「見る人の気持ちの順番」
動画広告は、見る人が自分から探しに来たものではありません。SNSのフィードやリールを流し見している途中で、たまたま目に入るものです。そのため、テレビCMのように最後まで見てもらえる前提では作れません。
動画広告の構成は、流し見している人の気持ちが次のように動く順番を、映像の時間軸に置いたものだと考えると整理しやすくなります。
- 指が止まる(これは何だろう)
- 自分ごとになる(自分に関係ある話だ)
- 理解する(こういう商品・サービスなのか)
- 納得する(たしかによさそうだ)
- 行動する(詳しく見てみよう)
構成が崩れている動画は、この順番のどこかが抜けているか、順番が入れ替わっています。たとえば、冒頭で会社のロゴと社名を長く見せる動画は「指が止まる」と「自分ごとになる」の前に、見る人にとって関心の薄い情報を置いてしまっています。
02動画広告を作る前に決める4つのこと
構成を考える前に、次の4つを1枚のメモに書き出しておきます。ここがあいまいなまま撮影に入ると、編集の段階で「結局何を言いたい動画なのか」がぼやけてしまいます。
1. 目的(この動画で起こしたい行動)
認知を広げたいのか、LPを見てもらいたいのか、申し込みや購入まで進んでほしいのかで、構成は大きく変わります。広告の配信目的(キャンペーンの目的)とそろえて決めると、配信後の評価もしやすくなります。
2. 見る人と、その温度
「誰に見せるか」に加えて、「その人がどのくらい商品を知っているか」を決めます。初めて知る人と、一度LPを見た人とでは、必要な説明の量がまったく違います。
3. 伝えるメッセージを1つ
1本の動画で伝えるメッセージは1つに絞ります。「安い」「早い」「品質が高い」「サポートも手厚い」を全部入れると、見る人の記憶にはどれも残りません。言いたいことが複数ある場合は、メッセージごとに別の動画を作り、配信して反応を比べるほうが成果につながりやすくなります。
4. 見たあとに取ってほしい行動
「詳しくはLPで」「無料で相談する」「アプリをダウンロード」など、最後に促す行動を1つに決めます。行動が決まると、動画の終わり方と、遷移先のページで最初に見せる内容が決まります。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 目的 | LPに来てもらい、無料相談の申し込みにつなげる |
| 見る人と温度 | 広告運用を自社でやっていて成果に悩む中小企業の担当者。サービスはまだ知らない |
| メッセージ | 広告の成果は、広告より先に「導線」で決まる |
| 取ってほしい行動 | LPで事例を見てもらう |
03目的別・動画広告の構成の型
ここでは、目的と温度の組み合わせごとに、使いやすい構成の型を紹介します。型はあくまで出発点です。商材に合わせて順番を入れ替えたり、不要なパートを削ったりして使います。
型1:問題提起型(獲得向け・温度低め)
悩みを持つ人に「自分のことだ」と思ってもらい、解決策として商品を見せる型です。広告運用でもっとも使われる構成のひとつです。
- 悩みの提示(よくある状況を一言で)
- 原因の指摘(なぜうまくいかないのか)
- 解決策の提示(商品・サービス)
- 根拠(使っている様子、数字、声)
- 行動の呼びかけ
型2:ビフォーアフター型(変化が見せやすい商材)
使う前と使ったあとの違いを見せる型です。片付け、清掃、リフォーム、美容、業務効率化ツールなど、変化が画面で伝わる商材に向いています。ただし、効果を誇張した見せ方は表示のルールに触れるおそれがあるため、実際の結果に基づく映像だけを使います。
- アフターの一瞬(結論を先に見せる)
- ビフォーの状態
- 変化の過程(何をしたのか)
- アフターをもう一度
- 行動の呼びかけ
型3:実演・使い方型(検討向け・温度中くらい)
商品を実際に使う様子を見せて、「自分にも使えそう」と感じてもらう型です。仕組みが少し複雑なサービスや、操作のイメージが購入の決め手になる商材で効果を発揮します。
- できあがりや結果を先に見せる
- 手順を3つ程度に分けて見せる
- つまずきやすい点と、その解消
- 行動の呼びかけ
型4:比較・選び方型(比較検討している人向け)
「選び方」を教える形で、自社の強みを自然に伝える型です。押し売り感が出にくく、すでに比較段階にいる人に向いています。他社名を出した比較は誤認を招きやすいため、選ぶ基準を示す形にとどめるのが安全です。
- 「〇〇を選ぶときに見るべき3つのポイント」
- ポイント1〜3の説明
- 3つを満たすものとして自社を紹介
- 行動の呼びかけ
型5:リマインド型(温度高め・リターゲティング向け)
一度LPを見た人や、カートに商品を入れた人に向けた短い構成です。説明は省き、迷っている理由を1つ解消して背中を押します。
- 「まだ迷っていますか」などの呼びかけ
- 迷う理由への回答(料金、解約、サポートなど)
- 行動の呼びかけ
目的と温度から型を選ぶ判断表
| 見る人の状態 | 主な目的 | 合う型 | 構成の重心 |
|---|---|---|---|
| 悩みはあるが商品を知らない | 獲得・LP誘導 | 問題提起型、ビフォーアフター型 | 共感と原因の説明 |
| 商品カテゴリは知っている | 検討・理解 | 実演・使い方型 | 使うイメージ |
| 複数の商品を比べている | 比較・申し込み | 比較・選び方型 | 選ぶ基準と強み |
| 一度LPを見た | 申し込み | リマインド型 | 不安の解消 |
04動画広告の尺ごとの組み立て方
動画広告の尺に「これが正解」という長さはありません。たとえばTikTokのインフィード動画広告は、推奨のアスペクト比が縦型の9:16で、最長10分までの動画を入稿できます。このように媒体の仕様上は長い動画も配信できますが、流し見の中で見られる前提では、伝えるメッセージの量に合わせて尺を決めるのが現実的です。目安として、尺ごとに入れられる情報量は次のように考えると組み立てやすくなります。
| 尺の目安 | 入れられる情報 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 6秒前後 | メッセージ1つと商品名・ロゴ | 認知、リマインド、長尺の補助 |
| 15秒前後 | 悩み→解決策→行動 | もっとも汎用的。獲得にも使いやすい |
| 30秒前後 | 悩み→原因→解決策→根拠→行動 | 説明が必要な商材、問題提起型 |
| 60秒前後 | 30秒の内容に実演や事例を追加 | 検討段階の人、高単価の商材 |
尺を延ばすときは、パートを足すのではなく、根拠や実演の量を増やすのが基本です。冒頭で興味を持ってもらう部分は、尺が長くても短くても短く保ちます。
また、同じ素材から長さの違う動画を作っておくと便利です。30秒版を基準に作り、そこから15秒版、6秒版を切り出すと、撮影の手間を増やさずに検証の幅を広げられます。
05音声オフでも伝わる作り方
SNSでは、音を出さずに動画を見ている人が少なくありません。音声がなくても内容が伝わるように作っておくと、音を出している人にも、出していない人にも届きます。
テロップでメッセージを運ぶ
ナレーションやセリフの要点は、必ずテロップでも表示します。すべてを文字起こしする必要はなく、1画面に1つの要点を短く出すのがコツです。長い文章は読み切る前に画面が切り替わってしまうため、読む時間を確保できる長さにとどめます。
映像だけで意味が通るカットを選ぶ
「話している人の顔だけ」が続く映像は、音がないと何の動画かわかりません。商品、使っている手元、結果の画面など、映像だけで状況が伝わるカットを混ぜます。
画面の上下に重要な情報を置かない
縦型の動画広告では、画面の上下にアカウント名やボタン、説明文などが重なって表示されます。Metaはストーリーズとリール広告について、テキストを置かないほうがよい「セーフゾーン」を案内しています。テロップや商品は画面の中央寄りに配置し、上下の端には重要な情報を置かないようにします。
06素材が少ないときの動画広告の作り方
「撮影する時間も予算もない」という場合でも、動画広告は作れます。完成度よりも、まず配信して反応を見ることを優先するなら、次のような作り方が現実的です。
| 作り方 | 内容 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 静止画+テロップ | 商品写真やスクリーンショットを数枚並べ、テロップと動きを付ける | 撮影素材がない、まず訴求を試したい |
| 画面収録 | アプリやWebサービスの操作画面を収録して編集する | SaaS、アプリ、Webサービス |
| スマホでの自撮り・手元撮影 | 担当者が語る、手元で使ってみせる | 人柄が伝わる商材、店舗、サービス業 |
| 既存のバナーを動かす | 反応のよいバナーの要素を順番に表示する | すでに勝ちバナーがある |
反応のよかったバナーがあるなら、その訴求をそのまま動画にするのが近道です。勝ちパターンのメッセージがすでにわかっているため、構成で迷う時間を短くできます。
検証まで考えると、必要なのは1本の動画ではなく、比べられる複数本です。訴求を変えた動画を用意し、反応のよいものに冒頭違いを足していくので、編集、テロップの修正、入稿の作業が配信中もくり返し発生します。担当者が他業務と兼務している場合、止まりやすいのはこの追加制作です。1本に時間をかける前に、誰が編集し、どのくらいの頻度で作れるかを見積もり、その本数で回せる作り方を選ぶと無理がありません。
07動画広告の構成設計表(テンプレ)
構成を決めるときは、次のような表に1行ずつ書き込むと、撮影や編集の担当者と認識をそろえやすくなります。台本に進む前の「設計図」として使ってください。
| パート | 秒数の目安 | 見る人の気持ち | 映像 | テロップ | 音声・ナレーション |
|---|---|---|---|---|---|
| つかみ | 0〜3秒 | 指が止まる | 悩んでいる様子のアップ | 「広告費を増やしても問い合わせが増えない」 | なし(BGMのみ) |
| 自分ごと化 | 3〜7秒 | 自分のことだ | 管理画面を見てため息 | 「それ、広告のせいではないかもしれません」 | 同じ内容を読み上げ |
| 解決策 | 7〜15秒 | そういうことか | 導線の図解アニメーション | 「広告→LP→相談までを1本で設計」 | 解決策の説明 |
| 根拠 | 15〜24秒 | よさそうだ | サービスの説明画面 | 「運用とLP制作を同じチームで」 | 特徴の説明 |
| 行動 | 24〜30秒 | 見てみよう | ロゴとボタンの案内 | 「詳しくはこちら」 | 行動の呼びかけ |
設計表の「見る人の気持ち」の列が埋まらないパートは、不要なパートである可能性が高いです。埋まらない行は削るか、別のパートにまとめます。
08動画広告の構成でよくある失敗と対策
| よくある失敗 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 冒頭にロゴや社名を長く出す | 関心を持つ前に離脱される | 冒頭は悩みや結果から始め、ロゴは最後に |
| 伝えたいことを全部入れる | どれも記憶に残らない | 1本1メッセージにし、別メッセージは別の動画に |
| テロップが長い | 読み切れずに画面が変わる | 1画面1要点、短い言葉に分ける |
| 遷移先と内容がずれる | クリックされても成果につながらない | 動画の最後のメッセージをLPの冒頭と合わせる |
| 1本だけ作って判断する | 構成が悪いのか訴求が悪いのかわからない | 冒頭や訴求を変えた複数本で比べる |
| 横型の素材をそのまま縦に使う | 被写体が小さく、上下に余白ができる | 縦型を前提に撮影するか、縦に組み直す |
特に見落としやすいのが、遷移先とのずれです。動画で「料金の安さ」を訴求したのに、LPの冒頭では「品質の高さ」を語っていると、クリックした人は「思っていたのと違う」と感じて離れてしまいます。動画広告は、遷移先のページとセットで設計するものだと考えておくと失敗を防げます。
成果が出ないときも、どこで減っているかを分けて見ます。再生はされるのにクリックされないなら動画の終盤や行動の呼びかけ、クリックされるのに申し込まれないならLPの冒頭、LINEに登録されたのに反応がないなら登録後の案内が、まず確かめる場所です。
09動画広告の公開前チェックリスト
- 1本の動画で伝えるメッセージは1つに絞れているか
- 冒頭の数秒で、誰に向けた何の動画かがわかるか
- 音声なしで見ても内容が伝わるか
- テロップや商品が画面の上下の端にかかっていないか
- 最後に促す行動が1つに決まっているか
- 動画の最後のメッセージと遷移先ページの冒頭がそろっているか
- 効果や実績の表現が、実際の結果や根拠に基づいているか
- 尺違い・冒頭違いなど、比べられるパターンを用意できているか
10よくある質問
Q. 動画広告は長いほうがいいのですか、短いほうがいいのですか
伝えたい情報の量と、見る人の温度によります。初めて知る人に向けた広告では短めにして要点を1つに絞り、検討段階の人には実演や事例を加えた長めの動画を出す、という使い分けが基本です。同じ素材から複数の尺を作り、配信結果で判断するのが確実です。
Q. 撮影はプロに頼んだほうがいいですか
商材やブランドの方針によります。SNS広告では、スマホで撮った自然な映像のほうがフィードになじみ、広告っぽさが薄れて見てもらいやすい場合もあります。まずは構成と訴求を固め、反応のよい型が見つかってから映像の品質に投資する順番がおすすめです。スマホでの撮影と簡単な編集で検証が回っているうちは、自社で作れば十分です。
Q. 構成はどのくらいの頻度で見直すべきですか
同じ動画を配信し続けると、見る人が飽きて反応が落ちていきます。反応が落ちてきたら、構成をすべて作り直すのではなく、冒頭や訴求の一部を差し替えて新しいパターンを作ると効率的です。
11まとめ
- 動画広告の構成は、流し見している人の気持ちの順番を時間軸に置いたもの
- 作る前に「目的」「見る人と温度」「メッセージ1つ」「取ってほしい行動」を決める
- 目的と温度に合わせて、問題提起型・ビフォーアフター型・実演型・比較型・リマインド型から選ぶ
- 尺はメッセージの量で決め、同じ素材から尺違いを作って比べる
- 音声オフでも伝わるよう、テロップと映像だけで意味が通るように作る
- 構成設計表で「見る人の気持ち」が埋まらないパートは削る
- 動画は遷移先のページとセットで設計する
動画単体の出来よりも、見た人がどこへ進み、何をするかまで描いたうえで構成を決めると、改善の打ち手も見つけやすくなります。Lic.では、広告クリエイティブの制作と、遷移先のLPや導線の設計を一体で考えることを大切にしています。
広告のクリックはあるのに、申し込みが増えない?
広告運用を前提に、離脱防止の設計までふくめたLPや、配信用の広告クリエイティブを制作します。公開後も、配信データをもとに改善を続けます。
- 離脱防止まで考えたLP制作
- 配信用の広告クリエイティブ制作
- 配信データをもとにした継続的な改善
まだ具体的に決まっていない段階のご相談も歓迎です。
参考
- TikTok広告ヘルプセンター「動画広告の仕様」 https://ads.tiktok.com/help/article/video-ads-specifications?lang=ja
- Metaビジネスヘルプセンター「ストーリーズ広告とリール動画広告のテキストオーバーレイとセーフゾーンについて」 https://www.facebook.com/business/help/980593475366490





