KPIツリーの作り方|5ステップと広告の課題が見つかるテンプレ

目次
KPIツリーは、最終目標を四則演算で分解し、指標同士のつながりを1枚の図にしたものです。作り方の要点は、頂点を1つに決める、掛け算と足し算を基本に分解する、末端を担当者が動かせる行動にする、の3つで、これを守ると広告の原因探しが数分で終わる道具になります。
広告の数字を毎週見ていても何を直すかが決まらないのは、多くの場合、指標がバラバラに並び、つながりが共有されていないためです。広告運用に絞って、手順、業種別テンプレ、運用ルール、よくある失敗の順に整理します。
01KPIツリーとは:目標を四則演算で分けた図
KPIツリーは、最上位の目標(KGI)を頂点に置き、それを構成する要素を枝分かれさせていく図です。売上なら「件数×単価」、件数なら「新規+リピート」のように、上の数字が下の数字の計算で再現できる形にするのが特徴です。
広告運用で使う場合、ツリーには2つの役割があります。
- 原因の場所を特定する:CPAが上がったとき、表示単価・クリック率・成約率のどこが動いたのかをたどれる
- 打ち手と数字を結びつける:「バナーを差し替える」「フォームの項目を減らす」といった施策が、どの数字を動かすためのものかがはっきりする
KGI・KPI・KSFの違い
| 用語 | 意味 | 広告運用での例 |
|---|---|---|
| KGI | 最終的に達成したい目標 | 月の売上、月の成約件数、採用人数 |
| KSF | 目標達成のカギになる要因 | 「無料相談の予約数を増やす」「客単価を上げる」 |
| KPI | KSFの進み具合を測る中間指標 | 予約数、CVR、CPA、CTR |
KSFを先に言葉で決めておくと、ツリーのどの枝を太く育てるべきかがぶれにくくなります。
02KPIツリーの作り方【5ステップ】
ステップ1:頂点(KGI)を1つだけ決める
最初に決めるのは、ツリーの頂点です。ここが2つ以上あると、枝の分け方がぶつかります。広告運用では、次のどれかを頂点にするのが一般的です。
- 売上・粗利:ECや単品通販など、広告から直接購入が起きる商材
- 成約件数:BtoBサービスや高額商材など、問い合わせの先に商談がある商材
- 来店数・予約数:店舗型のビジネス
- 採用人数:採用広告
ポイントは、広告の管理画面で見える数字ではなく、事業として本当に欲しい数字を頂点に置くことです。管理画面のCV数を頂点にすると、成約につながらないCVを増やしても「達成」に見えてしまいます。
ステップ2:四則演算で2〜3段に分ける
次に、頂点を掛け算と足し算を中心に分けていきます。分け方は大きく2つあります。
- 行動の段階で分ける:表示→クリック→CV→成約のように、ユーザーの行動の順に掛け算でつなぐ
- セグメントで分ける:媒体別、新規とリピート別、商品別のように、足し算で並べる
広告運用のツリーは、基本的に「段階の掛け算」を幹にして、必要なところで「セグメントの足し算」を枝として加えると読みやすくなります。たとえばリード獲得型なら次のような形です。
| 段 | 式 | 意味 |
|---|---|---|
| 1段目 | 成約件数=リード数×成約率 | 獲得と営業のどちらが課題かを分ける |
| 2段目 | リード数=クリック数×CVR | 広告側とLP側のどちらが課題かを分ける |
| 3段目 | クリック数=インプレッション×CTR | 配信量とクリエイティブのどちらが課題かを分ける |
| 4段目 | インプレッション=広告費÷CPM×1,000 | 予算と単価のどちらが課題かを分ける |
4段目だけは割り算を使いますが、上の数字を下の数字の計算で再現できる点は同じです。この形にしておくと、広告費を固定したときの成約件数が「広告費÷CPM×1,000×CTR×CVR×成約率」で再現できます。つまり、どの数字が1割下がれば成約がどれだけ減るかが計算でわかります。
ステップ3:末端を「動かせる行動」にする
ツリーの一番下は、担当者が明日から手を動かせる行動にします。CTRやCVRは結果の数字なので、その下にもう1段、打ち手を置きます。
| 末端の指標 | 動かすための行動の例 |
|---|---|
| CPM | ターゲットの広さ、配置、クリエイティブの品質 |
| CTR | 1行目のコピー、冒頭3秒の構成、訴求軸の数 |
| CVR | ファーストビュー、フォームの項目数、オファーの強さ |
| 成約率 | 初回連絡までの時間、ヒアリングの質、リードの質 |
ステップ4:枝ごとに担当と目標値を置く
ツリーができたら、各指標に担当者と目標値を書き込みます。広告運用者・LP制作・営業・経営者で担当が分かれることが多いため、ここが空白だと「CVRが悪いのはLPのせい」「いや広告のターゲットのせい」と押しつけ合いが起きます。
目標値は、頂点から逆算して決めます。たとえば成約件数の目標と成約率の実績から必要なリード数を出し、そこから必要なクリック数、必要なインプレッションへと順に戻していきます。
少人数の会社では、広告もLPもLINEも1人で兼務していることがあります。この場合、押しつけ合いは起きにくい一方で、営業や店舗が持つ数字が届かず、成約や来店の枝だけ更新が止まりがちです。誰がいつ数字を渡すかまで決めておくと、ツリーが使われ続けます。
ステップ5:見る頻度を決める
指標によって、適切な見る頻度は違います。毎日見るべき数字と、月に一度でよい数字を分けておくと、レポート会議が短くなります。
| 頻度 | 見る指標 | 理由 |
|---|---|---|
| 毎日 | 広告費の消化、配信の停止・審査落ち | 事故を早く見つけるため |
| 週1回 | CPM、CTR、CVR、CPA | 施策の効果を判断できる件数がたまるため |
| 月1回 | 成約率、客単価、LTV、KGI | 件数が少なく、短期ではぶれやすいため |
03業種別のKPIツリーテンプレート
ここでは、よく使う4つの型を式で示します。自社の形に合わせて、段を足したり省いたりしてください。
EC・単品通販
- 売上=新規売上+リピート売上
- 新規売上=新規購入件数×初回客単価
- 新規購入件数=セッション数×購入率
- セッション数=クリック数×LP到達率
- クリック数=インプレッション×CTR
ECでは、リピート売上を枝として必ず入れておくことが大切です。新規だけを見ていると、初回で赤字でも継続で回収できる商材の判断を誤ります。
リード獲得(BtoB・無料相談型)
- 受注件数=商談数×受注率
- 商談数=リード数×商談化率
- リード数=クリック数×CVR(インスタントフォームの場合は「フォーム表示数×送信率」)
- クリック数=インプレッション×CTR
リード獲得型では、商談化率の枝が最も軽視されがちです。リード単価が安くても商談化率が低ければ、商談1件あたりの費用は高くなります。
店舗集客
- 来店数=予約経由の来店+予約なし来店
- 予約経由の来店=予約数×来店率
- 予約数=LINE友だち数×予約率+サイトからの予約
- LINE友だち数=広告からの友だち追加+店頭での友だち追加
店舗型は、広告の効果がオンラインの数字だけでは追いきれません。予約やクーポンの利用など、来店とひもづく中間指標をツリーに入れておくと判断しやすくなります。
採用
- 採用人数=面接数×内定率×内定承諾率
- 面接数=応募数×面接設定率
- 応募数=求人ページ閲覧数×応募率
- 求人ページ閲覧数=クリック数×ページ到達率
採用は、応募数よりも面接設定率と内定承諾率で差がつきやすい分野です。広告の数字と、選考の数字を同じツリーに並べるのがコツです。
04動かせる指標かどうかの判定表
ツリーに入れた指標のうち、どれに力を入れるかを決めるときは、次の3つの観点で判定すると整理しやすくなります。
| 観点 | 問い | 判定の目安 |
|---|---|---|
| 影響の大きさ | この指標が1割改善すると、頂点はどれだけ動くか | 掛け算の幹にある指標ほど影響が大きい |
| 動かしやすさ | 担当者が今週中に打ち手を出せるか | クリエイティブやフォームは動かしやすく、客単価は動かしにくい |
| 測りやすさ | 1週間で判断できる件数がたまるか | 件数が少ない指標は、月単位で判断する |
3つとも「はい」の指標が、最初に取り組む対象です。たとえば、CVRが業界水準より明らかに低く、LPの修正がすぐできるなら、ターゲティングを触るより先にLPに手を入れたほうが効率的です。
05KPIツリーの使い方:CPAが上がったときの読み方
ツリーが本領を発揮するのは、数字が悪くなったときです。CPAが上がったときは、上から順に次のように確認します。
- CPMが上がっていないか:上がっていれば、競合の増加、ターゲットの狭さ、季節要因を疑う
- CTRが下がっていないか:下がっていれば、クリエイティブの疲弊を疑い、フリークエンシーを確認する
- CVRが下がっていないか:下がっていれば、LPの変更、フォームの不具合、流入先のずれを疑う
- どのセグメントで起きているか:媒体別・広告セット別・デバイス別に分けて、全体なのか一部なのかを確認する
この順に見ると、「なんとなくクリエイティブを変える」といった当てずっぽうの打ち手が減ります。数字が動いた枝だけに打ち手を集中できるからです。
ただし、枝は別々に動くとは限りません。クリックされやすい訴求に変えてCTRが上がった結果、LPの内容とずれてCVRが下がることがあります。LINEや営業の対応が追いつかず、成約率が落ちることもあります。1本の枝を直したあとは、その先の枝の数字も続けて確認します。
06KPIツリーでよくある失敗と対策
| 失敗 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 頂点が管理画面のCV数 | 成約しないCVが増えても達成に見える | 頂点を売上・成約・来店など事業の数字にする |
| 要素が重複している | 同じ数字を2つの枝で追い、施策がぶつかる | 掛け算は段階、足し算はセグメントと役割を分ける |
| 末端が結果の数字で終わっている | 「CTRを上げる」以上の議論にならない | もう1段下に具体的な打ち手を置く |
| 指標が多すぎる | 会議で全部を読み上げて終わる | 毎週見る指標を5〜7個程度に絞る |
| 一度作って更新しない | 事業や媒体の変化とずれていく | 四半期に一度、構造そのものを見直す |
| 担当が書かれていない | 押しつけ合いが起きる | 指標ごとに担当者名を書く |
07KPIツリー作成チェックリスト
- 頂点は1つで、事業として本当に欲しい数字になっている
- 上の数字が、下の数字の計算で再現できる
- 同じ要素が2つの枝に入っていない
- 末端に、担当者がすぐ動かせる行動が書かれている
- 各指標に担当者と目標値がある
- 毎日・毎週・毎月で見る指標が分かれている
- オフラインの成果(商談・来店・採用)がツリーに入っている
08よくある質問
KPIツリーはどのツールで作ればいいですか?
スプレッドシートで十分です。各段の数字をセルで計算するようにしておくと、「CVRが1ポイント上がったら成約がいくつ増えるか」をその場でシミュレーションできます。図として見せたい場合は、作図ツールで清書するのはその後で構いません。ツリーを作るところまでは、社内の数字があれば自社で十分にできます。手間がかかるのは、媒体、LPの解析、LINE、営業の記録から毎週数字を集める作業なので、更新の手順も作成と同時に決めておきましょう。
媒体が複数ある場合はどうしますか?
まず全体のツリーを1本作り、クリック数やリード数の段で「媒体別」の足し算の枝を加えます。媒体ごとに別のツリーを作ると、全体での予算配分の判断がしにくくなります。
目標値の根拠がない場合は?
最初の1〜2か月は、実績を測る期間と割り切って構いません。実績がたまったら、その数字を基準に目標値を置き直します。根拠のない数字を目標にすると、達成しても未達でも学びが残りません。
09まとめ
- KPIツリーは、KGIを四則演算で分解し、指標のつながりを1枚にした図
- 頂点は管理画面のCVではなく、売上・成約・来店・採用など事業の数字にする
- 幹は「段階の掛け算」、枝は「セグメントの足し算」で作ると読みやすい
- 末端には担当者が動かせる行動を置き、担当者と見る頻度を書き込む
- 数字が悪化したら、上から順に動いた枝を探し、そこだけに打ち手を集中する
KPIツリーは、作ること自体よりも、毎週の判断に使い続けることで価値が出ます。Lic.では、SNS広告の運用とLP、その先の成約までを一続きで見られるよう、最初に頂点と枝の形をそろえてから運用を始めることを大切にしています。
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まだ具体的に決まっていない段階のご相談も歓迎です。
参考
- LINEヤフー for Business「KPI(重要業績評価指標)とは? 意味や具体的な指標をわかりやすく解説」 https://www.lycbiz.com/jp/column/ly-ads/marketing/kpi-ads/





