カスタマージャーニーマップの作り方|活用まで進める5ステップ

目次
カスタマージャーニーマップの作り方は、段階を決める、行動と接点を書き出す、考えと気持ちを書く、課題を見つける、打ち手を決める、の5ステップが基本です。お客様の行動や気持ちの流れを描き、「どこでお客様が離れているのか」「次に何を改善すべきか」を見つけるための道具なので、きれいな図になっただけでは施策は変わりません。役に立つマップは、最後に「課題」と「打ち手」の行まで埋まっています。
各ステップの進め方に加えて、マップの要素、作る前の準備、SNS広告からLP・LINEへつなぐ導線の作成例、1時間で作れるミニ版、よくある失敗と対策も紹介します。
01カスタマージャーニーマップとは
カスタマージャーニーとは、お客様が商品やサービスを知ってから、検討し、購入や申し込みに至り、その後も使い続けるまでの一連の流れのことです。その流れを、段階ごとに表や図にまとめたものをカスタマージャーニーマップと呼びます。
マップには、お客様の行動だけでなく、そのときに何を考え、どんな気持ちでいるのか、どこで企業と接しているのかを書き込みます。UXリサーチの分野で知られるNielsen Norman Groupも、ジャーニーマップを「ある目的を達成するために人がたどる過程を視覚化したもの」と説明しています。
マップを作る目的
カスタマージャーニーマップを作る主な目的は、次の3つです。
- お客様の目線で流れを見直す:企業の都合ではなく、お客様の行動の順番で施策を並べ直せる
- 離脱しやすい場所を見つける:気持ちが下がる段階や、情報が足りない接点がわかる
- チームの認識をそろえる:広告、LP、営業、サポートなど、担当が分かれていても全体の流れを共有できる
02カスタマージャーニーマップの要素
一般的なカスタマージャーニーマップは、横軸に段階、縦軸に次のような項目を並べた表の形で作ります。
| 要素 | 書くこと |
|---|---|
| 段階 | 認知、興味、比較・検討、申し込み、利用・継続など |
| 行動 | その段階でお客様が実際にしていること |
| 接点(タッチポイント) | お客様が企業や商品と接する場所(広告、LP、SNS、LINE、店舗など) |
| 考えていること | その段階で頭に浮かんでいる疑問や考え |
| 気持ち | 期待、不安、面倒など、気持ちの上がり下がり |
| 課題 | お客様が止まったり離れたりしやすい理由 |
| 打ち手 | 課題を解消するための施策 |
上の5つは「お客様の今」を描く行、下の2つは「企業がやること」を決める行です。上の行だけで終わってしまうと、「作って終わり」のマップになります。
03カスタマージャーニーマップを作る前の準備
1. ペルソナを決める
カスタマージャーニーマップは、誰の旅を描くのかが決まっていないと作れません。まずは、典型的なお客様であるペルソナを1人決めます。お客様のタイプによって旅の流れが大きく違う場合は、ペルソナごとに別のマップを作ります。ペルソナの作り方は「ペルソナの作り方」で詳しく解説しています。
2. ゴールを決める
マップの最後の段階、つまりお客様に到達してほしいゴールを決めます。「無料相談の申し込み」「初回購入」「継続利用」など、マップの目的に合わせて決めます。広告運用の改善が目的なら、申し込みや購入までを中心に描き、その後の継続は簡単にまとめても構いません。
3. 材料を集める
マップは想像だけで作ると、実際のお客様の行動とずれてしまいます。次のような材料を事前に集めておきます。
- 広告やサイトのアクセス解析(どこから来て、どこで離れているか)
- 問い合わせや営業で聞いたお客様の質問
- お客様アンケートやインタビューの記録
- 広告の配信結果(どの訴求に反応があったか)
04カスタマージャーニーマップの作り方(5ステップ)
ステップ1:段階を決める
お客様の旅を、いくつかの段階に分けます。よく使われるのは「認知→興味→比較・検討→申し込み→利用・継続」の5段階ですが、商材によって変えて構いません。検討期間が短い商品なら段階を減らし、BtoBのように社内の承認が必要な商材なら「社内の相談」などの段階を加えます。
ステップ2:行動と接点を書き出す
段階ごとに、お客様が実際にしていることと、そのときの接点を書き出します。「SNSで広告を見る」「名前で検索する」「LPで料金を確認する」「LINEに友だち追加する」など、なるべく具体的な行動で書きます。
接点は、自社が用意しているものだけでなく、口コミサイトや比較記事、知人からの紹介など、自社の外にあるものも含めて書き出します。
ステップ3:考えていることと気持ちを書く
それぞれの段階で、お客様の頭に浮かんでいる疑問や考え、気持ちを書きます。「これは自分に関係あるかな」「料金はいくらだろう」「しつこく営業されないかな」など、お客様の言葉で書くのがコツです。
気持ちは、上がっているか下がっているかを線で表すと、どこで不安が大きくなるのかが一目でわかります。
ステップ4:課題を見つける
気持ちが下がっている段階や、疑問に答える接点がない段階に注目して、お客様が止まったり離れたりしやすい理由を書き出します。アクセス解析で離脱が多いページや、問い合わせでよく聞かれる質問があれば、その段階の課題として書き込みます。
数字で確かめるときは、置き場が接点ごとに分かれている点に注意します。広告は媒体の管理画面、LPは解析ツール、LINEは公式アカウントの管理画面にあり、担当者や外注先も分かれていると、全体をつなげて見ている人がいない状態になりがちです。広告からの流入、LPの到達、友だち追加、予約の数字をマップの段階に沿って1枚に並べると、どの段階の課題なのかを確かめられます。
ステップ5:打ち手を決める
課題ごとに、それを解消する施策を書きます。すべての課題に一度に取り組む必要はありません。ゴールに近い段階の課題から、または影響が大きそうな課題から優先順位を付けます。
打ち手が広告、LP、LINEにまたがると、直す順番と素材の準備を接点の間で調整する必要が出てきます。兼務の体制なら、1か月で実際に動かせる打ち手の数を先に見積もり、それに合わせて優先順位を決めると、マップが計画倒れになりにくくなります。
05作成例:SNS広告からLP・LINEへの導線
ここでは、オンラインで受講できる資格講座を例に、SNS広告からLPを経て、LINEで無料説明会の申し込みにつなげるマップの例を紹介します。内容は説明のための架空の例です。
| 項目 | 認知 | 興味 | 比較・検討 | 申し込み | 受講・継続 |
|---|---|---|---|---|---|
| 行動 | Instagramのリールで広告を見る | プロフィールやLPを見る | 講座名で検索し、口コミや他社を比べる | LINEに友だち追加し、説明会を予約する | 説明会に参加し、受講を始める |
| 接点 | SNS広告 | LP、Instagramアカウント | 検索結果、比較記事、LP | LINE公式アカウント | 説明会、受講サイト |
| 考えていること | 働きながら資格が取れるなら気になる | 本当に仕事と両立できるのか | 費用は高くないか、他と何が違うのか | 申し込んだら勧誘されないか | ついていけるか不安 |
| 気持ち | 少し期待 | 期待と疑い | 不安が大きい | 迷い | 安心と不安が半々 |
| 課題 | 広告とLPの訴求がずれている | 両立できる根拠が伝わっていない | 料金の総額がわかりにくい | 申し込みの心理的な負担が大きい | 最初の数週間で離脱しやすい |
| 打ち手 | 広告の訴求とLPのファーストビューをそろえる | 1日の学習時間と受講生の生活の例を載せる | 総額と分割の例をLPの料金ブロックに明記 | 説明会では勧誘しないことをLINEの案内文に明記 | LINEで最初の数週間に学習の進め方を配信 |
この例で一番大きな課題は「比較・検討」で不安が大きくなっている点です。料金がわかりにくいままだと、どれだけ広告で興味を引いても、ここで多くの人が離れてしまいます。マップを作ることで、広告の改善よりも先にLPの料金ブロックを直すべきだ、という優先順位が見えてきます。
061時間で作るミニ版マップ
本格的なマップを作る時間がない場合は、次の3つの行だけのミニ版から始めても十分に役立ちます。
| 項目 | 認知 | 興味 | 比較・検討 | 申し込み |
|---|---|---|---|---|
| お客様の疑問 | ||||
| 今の答え(接点と中身) | ||||
| 足りないこと |
ミニ版の作り方は簡単です。各段階でお客様が抱く疑問を1つずつ書き、その疑問に今どの接点で、どう答えているかを書きます。答えられていない段階が「足りないこと」になります。チームで1時間ほど話し合えば埋められる分量なので、まずはミニ版で課題を見つけ、必要に応じて本格的なマップに広げていくのがおすすめです。
07よくある失敗と対策
| よくある失敗 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 企業の都合で流れを描く | 実際のお客様の行動とずれる | データやお客様の声をもとに描く |
| 最初から細かく作り込む | 完成までに時間がかかり、使われない | ミニ版から始め、必要な部分だけ詳しくする |
| 課題と打ち手の行がない | 図ができただけで施策が変わらない | 最後の2行まで必ず埋める |
| 1人で作る | 見えていない接点や課題が抜ける | 広告、制作、営業など関係者と一緒に作る |
| 作ったあと見直さない | 施策や市場の変化についていけない | 施策の振り返りのたびにマップも更新する |
| ペルソナを決めずに作る | 誰の旅なのかがぼやける | 1枚のマップには1人のペルソナ |
特に多いのが、課題と打ち手の行が空欄のままになっている失敗です。お客様の行動や気持ちを描くことに時間を使いすぎて、肝心の「何をするか」まで進まないケースです。マップを作る前に、「最後に打ち手を3つ決める」というゴールを決めておくと、この失敗を防げます。
08よくある質問
Q. カスタマージャーニーマップは、どんなツールで作ればいいですか
表計算ソフトやスライド、ホワイトボードなど、チームが使い慣れているもので構いません。大切なのは見た目の美しさではなく、関係者が書き込みながら話し合えることです。最初は付箋やホワイトボードで自由に書き出し、まとまったら表計算ソフトに清書する方法も使いやすいです。
Q. 段階はいくつに分ければいいですか
決まった数はありませんが、4〜6段階程度にすると全体を見渡しやすくなります。段階が多すぎると、1つ1つの段階の内容が薄くなり、課題が見えにくくなります。まずは大きく分けて作り、課題が集中している段階だけを細かく分けると効率的です。
Q. BtoBでも作る意味はありますか
BtoBでも役立ちます。BtoBでは、担当者が情報を集め、上司や決裁者の承認を得るまでに時間がかかることが多く、その間に検討が止まってしまうことがあります。「社内の相談」や「承認」の段階を加えたマップを作ると、担当者が社内で説明しやすい資料が足りない、といった課題が見えてきます。
09まとめ
- カスタマージャーニーマップは、お客様が知ってからゴールに至るまでの流れを段階ごとに描いたもの
- 要素は、段階・行動・接点・考えていること・気持ち・課題・打ち手
- 作る前に、ペルソナとゴールを決め、データやお客様の声を集める
- 段階→行動と接点→考えと気持ち→課題→打ち手の5ステップで作る
- 打ち手は、すぐに着手できる具体的な単位で書く
- 時間がなければ、疑問・今の答え・足りないことの3行のミニ版から始める
カスタマージャーニーマップで流れ全体を見渡すと、広告だけ、LPだけを改善するよりも、効果の大きい打ち手が見つかりやすくなります。Lic.では、SNS広告からLP、LINE、成約までの導線を分けずに設計しています。
広告のクリックはあるのに、申し込みが増えない?
広告運用を前提に、離脱防止の設計までふくめたLPや、配信用の広告クリエイティブを制作します。公開後も、配信データをもとに改善を続けます。
- 離脱防止まで考えたLP制作
- 配信用の広告クリエイティブ制作
- 配信データをもとにした継続的な改善
まだ具体的に決まっていない段階のご相談も歓迎です。
参考
- Nielsen Norman Group「Journey Mapping 101」 https://www.nngroup.com/articles/journey-mapping-101/





