ROASとは?計算式・ROIとの違いと改善する4つの方法

目次
ROASとは、広告費に対してその広告経由でどれだけの売上が生まれたかを示す、広告の効率を測る代表的な指標です。分子が売上であるため、そのまま「儲かっているか」の判断には使えず、ROASが300%出ているのに月末にお金が残っていないことも起こります。
ROASは「粗利率から逆算した損益分岐ROAS」と並べて見たときに初めて意味を持ち、事業として儲かっているかはROIで別に確かめる必要があります。計算式、ROIやCPAとの違い、損益分岐点になるROASの出し方、目標ROASの決め方を順に解説します。
01ROASとは:広告費1円あたりの売上を示す指標
ROAS(Return On Advertising Spend)は、広告費に対して、その広告経由でどれだけの売上が生まれたかを示す指標です。読み方は「ロアス」が一般的です。
計算式は次のとおりです。
- ROAS(%)= 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100
たとえば、広告費10万円で広告経由の売上が30万円なら、ROASは300%です。「広告費1円あたり3円の売上が返ってきた」と読みます。媒体や会社によっては「3.0」のように倍率で表すこともありますが、意味は同じです。
Google広告のヘルプでも、売上500円÷広告費100円×100%=500%という形で、目標広告費用対効果(目標ROAS)の考え方が説明されています。
ROASが使われる場面
ROASは、売上の金額がはっきりわかる商材で特に使われます。
- ECサイトの物販(購入金額が計測できる)
- 予約やチケットなど、1件ごとの金額がわかる申し込み
- 金額の異なる商品を同じキャンペーンで扱う場合
逆に、問い合わせや資料請求のように「その場では売上が立たない」成果は、ROASではなくCPA(1件あたりの獲得単価)で管理するのが一般的です。
02ROASとROI・CPAの違い
ROASと混同されやすいのが、ROIとCPAです。3つの違いは「分子と分母に何を置くか」で整理できます。
| 指標 | 計算式 | わかること | 主に使う単位 |
|---|---|---|---|
| ROAS | 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100 | 広告がどれだけ売上を生んだか | キャンペーン・広告セット |
| ROI | 利益 ÷ 投資額 × 100 | 投資が利益として返ってきたか | 事業・施策全体 |
| CPA | 広告費 ÷ 成果の件数 | 1件の成果にいくらかかったか | 問い合わせ・会員登録など |
ROIは「利益」で見る
ROI(Return On Investment)は、投資額に対して利益がどれだけ出たかを示します。広告の文脈では、次のように計算することが多いです。
- ROI(%)=(広告経由の売上 − 原価 − 広告費)÷ 広告費 × 100
ここでの「投資額」に、LP制作費やクリエイティブ制作費、運用の人件費まで含めるかどうかは会社によって異なります。社内で定義をそろえておかないと、同じ「ROI」という言葉で別の数字を話してしまうので注意が必要です。
ROASとROIは、見ている範囲が違う
ROASは広告の「効率」を、ROIは事業としての「採算」を見ています。ROASは日々の運用判断に向き、ROIは月次や四半期で「この施策を続けるべきか」を判断するのに向いています。どちらが優れているというより、役割の違う2つのものさしです。
03「ROAS300%なのに赤字」が起きる理由
ROASが高くても赤字になる原因は、ROASが売上ベースであることです。具体例で見てみましょう。
- 広告費:10万円
- 広告経由の売上:30万円(ROAS 300%)
- 原価(仕入れ・送料・決済手数料など):売上の75%=22.5万円
このとき、売上30万円から原価22.5万円を引いた粗利は7.5万円です。ここから広告費10万円を引くと、2.5万円の赤字になります。ROASは300%と悪くない数字に見えますが、粗利率が25%の商材では、ROAS 400%を超えないと広告費を回収できないのです。
損益分岐ROASは「1 ÷ 粗利率」
広告費をちょうど回収できるROASを、損益分岐ROASと呼びます。計算はシンプルです。
- 損益分岐ROAS(%)= 1 ÷ 粗利率 × 100
ここでの粗利率は、売上から「売れるたびにかかる費用」(仕入れ、送料、決済手数料、梱包費など)を引いた割合です。
粗利率別・損益分岐ROASの早見表
| 粗利率 | 損益分岐ROAS | 意味 |
|---|---|---|
| 20% | 500% | 広告費の5倍売れて、やっと広告費が回収できる |
| 25% | 400% | 広告費の4倍の売上が必要 |
| 30% | 約333% | 3倍強の売上が必要 |
| 40% | 250% | 2.5倍の売上で回収できる |
| 50% | 200% | 2倍の売上で回収できる |
| 60% | 約167% | 1.7倍弱の売上で回収できる |
| 70% | 約143% | 1.4倍強の売上で回収できる |
同じROAS 300%でも、粗利率50%の商材なら黒字、25%の商材なら赤字です。「ROASは何%あればいいですか」という質問に一律の答えがないのは、このためです。
04目標ROASの決め方
損益分岐ROASは「赤字にならない最低ライン」です。実際の目標は、ここに確保したい利益を上乗せして決めます。
ステップ1:粗利率を出す
売上に対して、売れるたびにかかる費用の割合を出します。商品ごとに粗利率が大きく違う場合は、売れ筋の構成で平均を取るか、粗利率の近い商品ごとにキャンペーンを分けます。
ステップ2:広告で残したい利益率を決める
たとえば「売上の10%は利益として残したい」と決めたら、広告費に使えるのは「粗利率 − 10%」です。
- 目標ROAS(%)= 1 ÷(粗利率 − 残したい利益率)× 100
粗利率50%で、売上の10%を利益として残したいなら、1 ÷ 0.4 × 100 = 250% が目標ROASになります。
ステップ3:リピートがある商材はLTVで調整する
初回購入だけで見ると赤字でも、2回目以降の購入で回収できる商材があります。定期購入やリピート率の高い商品では、初回のROASだけで判断すると、本来伸ばすべき広告を止めてしまうことがあります。この場合は、一定期間の顧客あたり売上(LTV)を使って目標を考えます。考え方はLTVの記事で詳しく扱っています。
目標を高くしすぎない
Google広告のヘルプでは、目標ROASを高く設定しすぎると広告が獲得できるトラフィックが制限され、合計のコンバージョン値が減ることがあると説明されています。ROASを上げることは「効率よく売る」ことですが、売上や利益の総額が増えるとは限りません。目標は、損益分岐ROASに少し上乗せした現実的な水準から始め、データを見ながら調整するのが安全です。
粗利率や残したい利益率は、社内にしかない情報です。計算そのものは表計算ソフトで十分なので、運用を外部に任せる場合でも、損益分岐ROASと目標は自社で持っておくと、報告の数字を自社の基準で判断できます。
05ROAS・ROI・CPAの使い分け判断表
どの指標を主役にするかは、商材と判断のタイミングで変わります。
| 状況 | 主に見る指標 | 理由 |
|---|---|---|
| EC物販で、商品ごとに金額が違う | ROAS | 件数より売上金額のほうが重要 |
| 単価がほぼ一定の商品 | CPA(ROASも併記) | 件数で管理したほうがわかりやすい |
| 問い合わせ・資料請求など、その場で売上が立たない | CPA、商談化率・成約率 | 売上は後から発生するため |
| 定期購入・サブスク | 初回CPAとLTV | 初回の売上だけでは評価できない |
| 施策を続けるか、やめるかの判断 | ROI | 制作費や人件費まで含めた採算を見る |
| 日々の入札や予算配分の調整 | ROAS・CPA | 短い期間で動きを見られる |
06ROASを見るときによくある失敗
1. 媒体の管理画面のROASを、そのまま足し合わせる
複数の媒体を使っていると、同じ1件の購入を、MetaとGoogleの両方が「自分の広告の成果」として数えていることがあります。各媒体のROASを合計すると、実際の売上より大きくなることがあるため、全体の判断はECの売上データやGA4などの数字と突き合わせて行います。
2. 売上に「税込・送料込み」を含めている
計測タグで送っている金額が、税込なのか税抜なのか、送料を含むのかで、ROASは変わります。損益分岐ROASを計算するときの売上と、計測している売上の定義をそろえておきましょう。
3. キャンセル・返品を引いていない
購入時点の金額で計測していると、後からのキャンセルや返品が反映されません。返品の多い商材では、管理画面のROASが実態より高く出ます。月次で実売上と照らし合わせる習慣をつけておくと安心です。
4. 認知目的の広告をROASで評価する
まだ商品を知らない人に向けた認知目的の広告は、直接の購入につながりにくく、ROASが低く出がちです。ROASだけで判断して止めると、半年後にリターゲティングの母数が減って、全体の売上が落ちることもあります。目的ごとに評価する指標を分けておきましょう。
5. 短い期間で判断する
配信直後は購入件数が少なく、1件の大口購入でROASが大きく動きます。判断に必要な件数や期間を事前に決めてから評価するのが基本です。
07ROASを改善する4つの方法
ROASは「売上 ÷ 広告費」なので、上げる方法は、売上を増やすか、同じ売上を少ない広告費で得るかの2つです。分解すると、次のどこかに手を入れることになります。
- 客単価を上げる:セット販売、まとめ買い特典、関連商品の提案
- CVRを上げる:LPの訴求、フォーム、決済手段の見直し
- CPC・CPMを下げる:クリエイティブの反応を上げ、無駄な配信面を除外する
- 配信先を見直す:購入につながりやすい層に予算を寄せる
広告の設定だけでなく、LPや商品の売り方でもROASは変わります。広告とLPをまとめて見ることが、改善の近道です。
ROASが下がったとき、広告の数字だけを見ると原因を取り違えることがあります。クリック率が保てているのに購入が減っているなら、LPの訴求やフォーム、決済の段階で離脱している可能性があります。LINEで購入を促しているなら、登録後の配信で反応が落ちていないかも確認します。媒体の管理画面、アクセス解析、LINEの管理画面、売上データを同じ期間で突き合わせる作業は手間がかかるので、月次でよいので担当者を決めておくと続きます。
08よくある質問
ROASは何%あれば合格ですか?
一律の基準はありません。粗利率によって損益分岐ROASが変わるため、まず自社の損益分岐ROASを計算し、それを上回っているかで判断します。
ROASとROIは、どちらを重視すべきですか?
日々の運用判断はROAS、施策を続けるかどうかの判断はROI、と使い分けるのがおすすめです。ROASが高くてもROIがマイナスなら、利益は出ていません。
問い合わせ型のサービスでもROASは使えますか?
問い合わせから成約までの率と平均単価がわかれば、「1件の問い合わせの想定売上」を置いてROASを計算できます。ただ、成約までに時間がかかる場合は、CPAと成約率で管理するほうが実務的です。
09まとめ
- ROASは「広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100」。広告の効率を見る指標
- ROIは利益ベースで、事業としての採算を見る。CPAは1件あたりの獲得単価
- ROASが高くても、粗利率が低いと赤字になる。損益分岐ROASは「1 ÷ 粗利率」
- 目標ROASは、粗利率から残したい利益率を引いて逆算する。リピート商材はLTVも使う
- 媒体ごとのROASの重複、税込・返品の扱いなど、計測の定義をそろえて判断する
ROASは便利な指標ですが、それだけを追いかけると「効率は良いのに儲からない」状態に陥りがちです。Lic.では、広告の数字と、LPや商品の売り方を一続きで見ながら、利益が残る運用を設計することを大切にしています。
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参考
- Google 広告 ヘルプ「目標広告費用対効果について」 https://support.google.com/google-ads/answer/6268637?hl=ja
- Salesforce「ROIとROASの違いとは」 https://www.salesforce.com/jp/resources/articles/business/roi-roas/





